2014 J‐POPベストアルバム 2位

J-Popベストアルバム 2位です!

「個人的に」ですのであしからず。

 

1,2位で悩みましたが、

ミツメ/ささやき

 

メロディアスな一面もあった前作「eye」とシングル「うつろ」。

これまでの代表曲はこれでしょう。

「煙突」


「オイルにまみれて泥だらけ/君が整備したマシンで/街をゆく/夜明けに追いつく
陸橋に差しかかったとき/ミラーに映ったのは/髪の長かったころの/君/だったような」

 

「君が整備したマシン」=先人(音楽的・文化的先人)の残したストック、遺産。
21世紀に活躍する彼ら。
膨大な作品群を前に、ミラーに映る「君」を感じながら、「夜に追いつく」ことを宣言しました。

 

と、ごちゃごちゃ言いましたが、彼らの最大の魅力はその音。

静かに、感情をおしこめた楽器群とアレンジ。

間違いなく「煙突」は

10年代を代表をする名曲です。


そして、期待を集め、満を持してのアルバムがこれ!
「ささやき」

はっぴいえんどフォロワー的な期待をしていたリスナーには、「メロディアス」さが消えた分案外不評。

ですが、

一音一音の強度が段違いに増してます。

そして、言葉とメロディーはこのアルバムではさして重要じゃないのです(「ささやき」ですよ!)。

音に比して、言葉の印象によって引っ張られる面が特にJポップには強い。

「ささやき」では、歌詞とメロディーのミニマムを試みているんだと思います。

ジャケットにフィーチャーされた団地。

団地の一室で、大声を張り上げているのが1st。

でも、団地の一室一室ではそれぞれが踊っている。

団地の一室一室には、それぞれの物語があるのです。

そして、ミツメはその一室のみにスポットをあてることをしません。

一室の一室の踊りを、束にして、強度を増し、団地全体で一つの音を形作る。

この「ささやき」。

2014年を切り取るのに、きっと成功しています。

え、このマスクかぶった人たちが若者の代弁者?うーんという人!

ぜひ、ミツメを(*‘∀‘)

「停滞夜」

読書の町宣言!うるわしき日々/小島信夫

久々に読んだ本をアップ。

小島信夫/うるわしき日々

小島信夫と言えば、「抱擁家族」。

小島信夫を抜きにして、日本文学は語れません。

 

その続編ともいわれるこの「うるわしき日々」。

「抱擁家族」は学生時代のバイブルと言っていいくらい、勉強した本。

勇んで読みましたが…結構難解(´・ω・`)

 

「抱擁家族」より、時代は複雑化し、現代化、個人化は進みます。

止まることのない雨漏りをふさぐように、守るべきものがあるかどうかさえ不確かなまま、互いに「抱擁」を試みる「抱擁家族」。

ストーリー、ピンとこない方はこちら。ネタバレ注意。

抱擁家族 amazon

 

抱擁家族の時代は1965年。

うるわしき日々は1997年。

実に30年。

 

私小説に近い形で、主人公三輪俊介を描く小島はすでに80代。

アル中の俊介、記憶の飛ぶ妻、かすかな断片をつなぎ合わせる老作家。

 

あまりに深刻な状況、でもどこか軽妙。

そのバランスは晩年の小島でも健在。

 

救い、結論は描かれていません。

いや、流れるような抑揚のないストーリーの中に作者は見出しているのかもしれません。

 

結論めいたものがあるとすれば、

終盤、保坂和志と思しき作家が猫について語るエピソード。

 

~死んだネコが、いつも通っていた道筋の空気が揺れていたのは、ネコ自身のことであるけれども、それを感じているのは僕だけだ~

それを受けて、三輪俊介に姿を借りた小島は、

~ペットを思う人はみなそのような個人的な思いをもつのだろうか。その個人的思いこそ大事だと思っているのだろうか。

 

ずっしりと、あとからヘビーになってくる小説です。

「抱擁家族」をとりあえず読んでから、みなさんどうぞ。

「抱擁家族」、ならびに庄野潤三「夕べの雲」は、江藤淳の評論「成熟と喪失」とセットで。

小説好きの方、文学部および社会学部の方は必読(‘ω’)ノ