学生時代、大手本屋さんに行っても入手できなかったピンチョン。
が文庫版がいつの間にか復刊!
覆面作家、寡作としても有名だったピンチョンも2000年代に入ってから活動を活発化。
その流れもあるんでしょうか。
古本にしても、入手困難だった本が割に簡単に手に入ってしまう時代。
読書家にとってはいい時代になりました、町の本屋さんは大変かもしれませんが(´・ω・`)
さて、難解で知られるピンチョン。
やはり難解でしたっ!
本作は初期の短編集ですが、「秘密裡に」などは解説がないとちょっと厳しい!
でも、ストーリーに翻弄されるのは作家の本意ではないはず。
なのでこれから読む皆さんは、解説を最初に読んでしまうのも手かもしれません。
ちくま文庫版の解説には、訳者志村正雄氏のていねい、かつネタバレの少ない解説があります。
ストーリーの補完ですから、読書の邪魔はしません。
まず解説を読んでしまいましょう^^;
5,6割の理解なのですが、簡単に感想を。
一貫して出てくるのが、落下、低地、落ちる、踏み外す等々の表現。
今いる場所の不安定さ、不確かさ、一見安定しているように見えるものに潜む落下の可能性、イメージが各短編で展開されています。
具体的な地位からの落下を意味するのではなく、誰もが漠然と知っている落下、眼下の暗闇のイメージです。
落下した位置からの文学、今にも落下しそうなへりを伝い歩く文学、落下した底からのメッセージを伝える文学。
そのテーマ自体は文学の王道とも言えますが、そのイメージの伝え方が難解、しかし鮮烈。
分からない作品もまた味。
もうちょっと枕元に置いておいて、考えてみます^_^